「野球は好きかね」
「ああ 好きだよ
唯一 黒人が白人に棒を振り回せる」人種差別とそれに基づく実話の事件を描いた社会派映画「ミシシッピー・バーニング」です。
アラン・パーカー監督の作品は、今作や「ミッドナイト・エクスプレス」のような社会派だけでなく「エンゼル・ハート」のようなサスペンス・ホラー系の作品もありますが、どこか共通しているのは作品にすごくハードボイルドな匂いがするっていう事ですね。
あらすじは
こちらを。
今作では主人公の二人、ウィレム・デフォーとジーン・ハックマンの二人の捜査官が、ストーリーを通して男臭い生き方を見せてくれています。ウィレム・デフォーはどちらかというとお坊ちゃん的な雰囲気の白黒はっきりさせないと気がすまないっていう神経質タイプの捜査官。一方、ハックマンは事件の起きたアメリカ南部地方出身である程度黒人差別の実情について理解を示し、捜査も臨機応変にいくというタイプの叩き上げ風捜査官。全くタイプの違う二人が時には喧嘩をしながらも最終的には事件を解決していけるのは、二人には「悪を許さない」という共通点があるからに他なりません。
とりわけ、黒人差別がどういうものなのかを知りながらも、事件が起こった街の非協力的な保安官に挑発的な態度をとるハックマンがいい味だしてます。特に、喧嘩売るようなセリフ吐きながら、ウィンクするトコなんて頭髪が気にならない位(笑)、カッコいいですよね。まさにハードボイルドです。
冒頭でも述べましたが、アラン・パーカー監督の作品はハードボイルドな雰囲気がする作品が多いと同時に、異人種間、とりわけ有色人種と白色人種の対立を描いた作品も多いんです。「ミッドナイト・エクスプレス」では、アメリカ人とトルコ人、「エンゼル・ハート」ではアメリカ内での白人と南部の黒人、今作でも、同じですね。これだけ作品にこういう要素が入ってくると、アラン・パーカー監督自体が実はすごい白人至上主義者なんじゃないかと思ってしまいますが(笑)、まー多かれ少なかれ色々な映画の中にもこういう差別的な配役であったり、差別的なセリフっていうのは出てきます。もちろん、その全てが有色人種が劣っているという前提で。
しかし、この作品も実話ベースだけあって重いですね。
知り合いのイギリス人の女の子にこのDVDを貸してあげたんですが、かなりショックを受けていたみたいでした。同じ白色人種といっても、やはりアメリカとイギリスでは有色人種に対する捉え方は違うのかもしれないなーとその時は思い、そのイギリス人の女の子に私は聞いてみたんです。「どうして白色人種は黒人を含めた有色人種に対する優越感を持っているんだろうね?」と。その質問に対する彼女の答えを聞いて、やはり基本的には白色人種の中に我々黄色人種を含めた有色人種に対する差別や偏見は存在するのだと感じたんです。
「さぁ・・・理由なんて無いんじゃないかしら。」
ひょっとしたら、一般の白人には有色人種に対する差別っていう概念すら無いんじゃないかと思ってしまいそうな言葉です。念のために言っておきますが、彼女はとても優しくて明るくてみんなに好かれるタイプの綺麗な女の子なんです。そんな万人に愛されるタイプの女の子でさえ、理由が無いって言うんですから、これはもうDNAレベルの話なのかもしれないと感じたものです。でもまぁ、今作を見てショックは受けたっていう事ですから、完全な白人至上主義って事でも無いんだと思いますけどね。日本に住んでる訳でもありますし。
KKKってのはある意味で向こう岸に渡っちゃった人たちですが、多くの白色人種も決してこちら側に立っている訳ではないっていう事を、そして我々日本人も白色人種から見れば有色人種である事を、今作のような映画から学び取る事はすごく重要な事であるような気がします。
今作の他にも、KKKや人種差別を描いた作品は多いですよね、「マルコムX」とか、「アメリカン・ヒストリーX」とか。そういった作品では、差別の対象になっているのが黒人である事が多いですが、黒人と同じ有色人種である我々日本人もこういう映画を見て、もっと人種の根にあるものを考える必要はあるんじゃないかと思いますね。