カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上でカッコーの巣の上で
(2007/12/07)
ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー 他

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「心に問題があると、自分で思うかね?」
「全然 俺は現代科学の天才さ」





これまたかなり古い映画です。1975年といいますから、今から33年前の映画ですね。
なぜここで採り上げる映画が古いものが多いのかを考えたのですが、色んな意味で「無菌化」された現在の映画よりも、剥き出しな表現が多かった(多方面への過度な配慮よりも表現を重視した)頃の映画の方がハートにくるものが多いからなのだと感じます。あまり話題になっているのを見たことが無い映画ではありますが、アカデミー賞5部門を独占した程の当時の話題作です。



あらすじはこちらを。



最近では、ディパーテッドでも怪演ぶりを大いに見せてくれたジャック・ニコルソンがこの映画でも見せてくれてます。歳を経って、怪優というイメージが定着してしまっている観のあるニコルソンですが、この映画の頃はワイルドな雰囲気も漂わせていて、外見的にもいい感じです。ちなみに、この映画の脇には後に色々な映画で目にする事が多い俳優が多く出演しています。ビリー役のブラッド・ドゥーリフはミシシッピー・バーニングやチャイルド・プレイシリーズで、テイバー役のクリストファー・ロイドはバック・トゥ・ザ・フューチャーのドク役で、マティーニ役のダニー・デビートはツインズで出演だけでなく、その後、パルプ・フィクションやエリン・ブロコビッチなどのプロデュースも手がけています。ちなみに今作がダニー・デビートの映画デビュー作だそうです。



この映画のタイトルを直訳すると、「カッコーの巣の上で」ではなく、「カッコーの巣を飛び超えた人」になるかと思いますが、最初、私はこのタイトルを見て何の意味なのかさっぱりわからなかったんです。だけど、カッコーという鳥の母性というものを考えたり、英題に含まれる「cuckoo's nest(カッコーの巣)」というのが精神病院を指す蔑称でもあるという事を知ったりする内に、この映画の内容とタイトルがリンクしているのがわかりましたね。



この映画でもやはり、ハードボイルドな所を見せてくれているのはジャック・ニコルソンですね。
とりわけ、どんな些細な事でもすぐ周りの人間に「you wanna bet? (賭けるかい?)」と持ちかけたりするあたり、いいです。私的にかなりいいです(笑)。



あるシーンで、ニコルソンが大理石?風の大きなスタンドを持ち上げる事ができるかどうかを周りの人間に賭けさせるシーンがあります。普通に見てとても持ち上げる事ができなさそうなスタンドなのですが、必死で持ち上げようとします。持ち上がらない様子を見て、周りの患者が彼に「ギブアップかい?」と問いかけます。そこでニコルソンは言います。「ほんの小手調べ。ウォーミングアップさ。」 再び持ち上げようとトライしますが、結局スタンドは持ち上がらず、ニコルソンは苦々しげにその場を立ち去ります。しかし、その立ち去る間際、彼はこう言うのです。「でも、努力はしたぜ。チャレンジはした。」


この、”強がり”と”不可能への挑戦”という姿勢にハードボイルドがあるような気がします。
とりわけ、強がりというのは男が男らしくある為には必ず必要なものであるような気がします。それが内容の伴わない、根拠の無い強がりだったとしても。もちろん、そればかりだと単なる勘違い野郎になってしまう可能性もあるんですが(笑)、それでも自分自身を奮い立たせる為の強がりというのは男なら身につけておくべきものであるような気がします。



マクマーフィー(ニコルソン)が病院へ来た事によって、他の患者達がそれまでの病院の投薬や治療で得られなかった人間性を少しずつ回復していくあたりは感動する所なんですが、実生活でも本当の意味でイイ男(顔形でなく)っていうのは、こんな風に周りの人間にすごく影響を与えたりするものだとも思います。



物語のラストでいわゆるロボトミー手術というものが出てきます。
もちろん、この映画では批判的な意味合いで使われているのですが、この映画が上映されていた当時はこのロボトミー手術(前頭葉切断手術)がまだ普通に行われていたそうです。現在ではその効果に疑問がもたれており、日本では奇しくもこの映画が上映されたこの1975年に精神外科を否定する決議により手術は中止され、以降行われていないそうです。



そういった批判的な描写が多く込められた映画だから、アカデミー賞5部門独占という快挙も成し遂げる事ができたのかもしれません。恐らく、映画自体が古い事に加えて、内容が内容だけに、TV、特に地上波などで放送される事は恐らくないと思います。是非、DVDで見てもらいたいですね。



弱者へのいたわりっていうのは絶対に必要だと思いますし、それもハードボイルドに生きる為に必要不可欠な要件の一つではあると思うのですが・・・しかし、こういった題材を扱った映画に過敏過ぎるような気がしますね、今の日本のマスメディアは。





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