「時々、考えるんだ。
人間の行為を神は赦すだろうか、と。
でも、とうの昔に神はこの地を見捨ててる。」実際にアフリカで行われていた紛争に絡んだダイヤモンドの密売をベースにした映画、「ブラッド・ダイヤモンド」です。主演はレオナルド・ディカプリオなんですが、「ディパーテッド」同様、渋い演技を見せてくれています。いやーほんとにディカプリオってカッコよくなりました。やはり、年齢を重ねる事でしか出せない男の色気っていうのもあるんでしょうね。
あらすじは
こちらを。
こういう民族紛争をベースにした映画って、舞台になっている場所が違っても、どこか似たピリピリした空気が漂っていますね。日常の中に常に「殺し」が隣り合わせの不穏な、安心とか安全という感覚を忘れてしまいそうなあの空気です。治安が悪くなってきたといっても、今の日本では全く感じる事ができない殺伐とした雰囲気が今作でも満ちています。
今作ではディカプリオ演じるアーチャーの死に面した時の姿にハードボイルドを見ました。
クライマックス寸前までのダイヤの為に欲望を剥き出しにしたアーチャーの姿に、ではありません。元傭兵で密輸ダイヤの運び屋をしている彼は確かにファッションもラフで見た目もワイルド、セリフや行動もタフな男という雰囲気は感じます。しかし、ラストに至るまでの彼の行為は全て自分の欲望を満たす為のものであり、その自己中心的な行動や言動にハードボイルドなものは感じません。いや、ある程度ハードボイルドに生きようとすれば、そんな自己中心的な部分も多少は入ってきてしまうのかもしれませんが、その生き様に「美しさ」を感じないのです。
クライマックスで脇腹に銃撃を受けた彼は半死半生になりながら、ダイヤを手にバンディー親子と共に迎えのセスナが来る滑走路へと向かいます。息も絶え絶えに剥き出しの岩肌を登っていく彼ですが、その中腹で一歩も動けなくなってしまいます。そこで覚悟を決めた彼はダイヤをバンディーに手渡し、さらに彼ら親子が安全に国外へ逃亡できる様に手配をし、自分を置いて彼らに逃げるように言います。政府軍の追手をライフルで撃退した後、彼は断崖の中腹に腰かけながら心惹かれた女性記者マディーに携帯電話をします。そこでマディー親子の事を彼女に頼み、そしてこう言うのです。
「今、すげぇ景色を眺めてるんだぜ。 ---君と一緒に見たかった。」
それまで彼を動かしていたのは、ダイヤや金という欲望だった。しかし、ダイヤを手放し、さらに自分の命まで消えようとしている中で彼がマディーに電話をしたのは、最後に彼の心が愛に還ろうとしたからなのかもしれないと感じましたね。
その時の、電話を切った後の崖の中腹で死を待つだけの彼の姿はすごく美しいんですよ。
ハードボイルド的に美しいんです。覚悟を決めて滅んでいく男の姿っていうのはシチュエーションが違っても美しいと思いますね。その覚悟を決めた後の「潔さ」が美しくみせるんだと思います。
そんな風に、ハードボイルドも突き詰めると”カッコいい”だけじゃなくて”美しい”って要素も含まれてくるんですよね。
内面のハードボイルドは美しさをも漂わせる。それが今作でも確認できると思います。
しかし、アフリカのこういうシビアな現実っていうのはすごく重いですねー。
こういう世界情勢のシリアスな面をクローズアップした映画っていうのは、ストーリーで感動させるだけでなく、こういう問題を考えるきっかけになるっていう点でも存在意義は大きいと思います。
しかしその反面、ハードボイルドなんて部分にこだわる事ができる程まだ気持ちに余裕のある私は実はすごく平和ボケした小市民なのかもしれないと感じてしまったり・・・。うーん・・・。